初夏…
眩しく爽やかな季節にオススメの官能フランス映画「髪結いの亭主」
学ぶべき得るものが沢山ありました。
ドライブがてら立ち寄った眺めの良い砂浜…
初夏の風を感じながら、海を見つめては、思い出される作品でした。
記念すべき初回記事は、非常に美しいこの作品の素晴らしい“魅惑”をお話しします。
「髪結いの亭主」あらすじ・解説
YouTube;シネマトゥデイ
1990年のフランス映画で監督は、パトリス・ルコント。
1991年セザール賞に7部門ノミネートされました。
主人公アントワーヌの回想と語りで構成されており
12歳と50歳を過ぎたアントワーヌが見事にシンクロし、とても優しい仕上がりです。
ストーリーは、12歳の夏から始まります。
ノルマンディーの美しい海、不思議な音楽。
アントワーヌは床屋に行くことが唯一の楽しみでした。
そして魅惑に満ちた至福のひととき。
石鹸とコロンの香りに包まれた空間。
豊満で赤毛のシェーファー夫人に、髪を触れられるその感触や彼女の体臭にうっとりとする少年アントワーヌ。
暑い夏の日…
白衣のボタンを外した胸元から見える豊かな乳房に見入ってしまい、何も手につかず、ベッドで天井を見つめて心に決めます。
「女の床屋さんと結婚する。」
年月は過ぎ、中年過ぎのアントワーヌ。
とある一軒の床屋の美しい店主マティルドを見つけ、散髪の途中で唐突にをささやくのです。
「結婚してください。」
三週間後、再び店を訪れ、帰り際、終始無言だったマティルドは言います。
「あなたの言葉に心を動かされました。あなたの妻になります。」
ささやかな結婚式、二人だけの結婚生活…。
子供も友達も何もいらない。
二人だけの愛の空間。
一軒の床屋というシチュエーションで映像が進んでいきます。
少しずつ彩りを増す背景(店内)は、とても美しく、注目して頂きたい点です。
目立ったストーリー展開を感じないフラットな仕上がり。
個性あふれる客たちとのエピソードと、ふたりの日常的な事柄がゆっくりと流れていきます。
ストイックな愛、そして美しい戯れ。
最後にマティルドが捧げた愛の形は、個人的にとても理解できるし非常に感慨深いものでした。
単純に受け取らず、深く理解して欲しいところ。
美しい映像と音楽。
音楽は、マイケル・ナイマンとアラビアック・ミュージック。(このサウンドトラックは非常にリラックス効果あり)
この映画の中で心に残るセリフがあります。
「どんな夢も強く想えば必ず叶う。」
「愛してるふりは絶対にしないで。」
映像、景色、シチュエーション、登場人物、物語…
絶妙なバランスのすばらしい作品です。
「髪結いの亭主」から学んだ5つのこと
- マティルドの美しい脚
- お洒落な化粧瓶や小物のディスプレイ
- 「叶わぬ夢などない」こと
- 深刻ぶらないこと
- ストイックな愛のかたち
①マティルドの美しい脚
https://japan.unifrance.org
「髪結いの亭主」といえば、ポスターにある赤いワンピース姿で脚を組んだマティルドの姿ではないでしょうか。
彼女の脚線美は、決して細くもなく太くもなくといった感じです。
脚が美しく見えるワンピースの丈が効果的に映ってます。
膝が少し覗く程度の、長くもなく短くもないスカート丈。
膝が綺麗な彼女にはピッタリですね。
人は、それぞれ脚線が違いますから、脚が最も美しく見えるスカート丈を見つけてみるのも良いかも。
ポイントは、長い丈はNGです。
膝の上か下あたりで見つけてください。
女性のパンツスタイルが多い中、脚が美しく見えるワンピースを着て、マティルドのように脚を組んで座っている…そんな女性を目にしたいと思いました。
勿論、私も全身鏡で、ワンピースの丈をアレコレと試してみたり…夏に向けて、ワンピースを着るのが楽しみになりました。
②お洒落な化粧瓶や小物のディスプレイ
作中のシーンのほとんどが理髪店の中で、店の外観や街並みなどのイメージは、勝手な想像の方が多いかもしれません。
ビジュアルセンスの良い作品なので、フランスの田舎町の美しい街並みがすぐに浮かびます。
ブルーの外壁、石畳、緑色の屋根など。。
作中、アントワーヌとマティルドが店の化粧品(オーデコロンやトニック)をシェイクし、飲んで戯れるシーンがあります。
その化粧品たちは、ショーウインドウや店内の棚に飾られており、この作品のお洒落な彩りとなっています。
素敵な化粧瓶は、女性なら大好きですから、とても目を惹きます。
部屋に可愛い化粧瓶を置いているだけで雰囲気が出ます。
私もフレンチ感のあるボトルを部屋の棚に並べてみました。
部屋の中にディスプレイコーナーを簡単につくることはできます。
良い香りがしてくるようなお部屋は、お洒落な気分にしてくれます。
そんなお洒落ヒントがマティルドの理髪店にはたくさんありました。
③強く想えば願いは叶う
少年アントワーヌの夏の終わり…
海岸で子供たちと一緒に砂のダムをつくっているシーンがあります。
一生懸命に砂を掘り立派な砂の壁を築くのですが、どうしても川の水量が多すぎる…
いくら砂を入れても川に押し流され、砂を入れた先から壊れてしまい、いっこうに壁の形になりません。
子供達はすっかり降参してしまいますが、アントワーヌだけは決して諦めません。
父はいつも言っていた。
人生は単純だ。
誰かを、またはなにかを手に入れたければ
ただ強く望めばいいのだから。
うまくいかないのは、気持ちが足りない証拠だ…。
アントワーヌがひと息つこうとしたそのとき、遠くの工事現場でブルドーザーが動いているのが見えます。
駆け出し、運転手に手を振って交渉するのです。
少年の混乱した話ぶりに気のいい運転手は心を動かされます。
そしてブルドーザーは、子供達にかわってたちまち大きなダム築いてしまいます。
アントワーヌは、運転手に感謝の気持ちを込めて笑顔で大きく手を振ります。
大人になったアントワーヌは、このときのことを思い返して頭の中で呟きます。
叶わぬ夢などない。
わたしはなによりもマチルドが欲しかった。
彼女はいわばこの川の流れであり
いずれ明け渡される砦のようなものだった。g
彼女はもうわたしのものだった、永遠に…。
強く望めばいい…決して待っているだけではないですね。
ほんとうに強く望むことは、夢を叶える自分を信じて行動していくことではないでしょうか。
“夢を叶えるんだ”という強い意志。
結果、アントワーヌは真っ直ぐに、マティルドの理髪店へ向かい求婚することができました。
その強い情熱にマティルドは、求婚を受け入れたのです。
私は人生の中で、叶えたい夢があることが素晴らしいことだと思います。
そして、叶わぬ夢などないなら…どんなに素晴らしいことでしょう。
④深刻ぶらないこと
IMDb.com
《マティルドのいいところは物事を決して深刻にうけとめないところだ》
《彼女は楽しく生きられればいいと決めてかかっているかのようだった》
と、アントワーヌは語ります。
この作品の主な登場人物に神経質な印象がありません。
優しい笑顔の彼らが記憶に残ります。
アントワーヌとマティルドの淡い印象が影響しているからでしょうか。
物事をいちいち深刻に受けとめていると、笑顔が乏しくなり、幸福度がぐんと下がります。
毎日が穏やかで幸福にあるために深刻ぶらないことではないでしょうか。
“深刻ぶる”とはどういうことでしょうか。。
「物事を容易ならないこと受けとめて思いわずらうさまです。」
そんな様子は周囲を遠ざけ、良い影響はありませんね。
私自身も思い当たることが多く、しっかりと頭に入れた言葉です。
人が思い詰める多くの事柄は、自分がが考えるほど大ごとではなく、さらりと通り過ごせることだと思いました。
深刻ぶらず穏やかでいるとおのずと幸福はやってくる…
楽しく生きることが最も優先すべきこと…
そんな風に思います。
しかしながら…
“深刻ぶらない”マティルドは誰よりも、とても深刻にアントワーヌへの『愛』に苦悩しているのです。
⑤ストイックな愛のかたち
アントワーヌとマティルドのふたりの生活は…
“友やその集いもいらない。煩わしいだけだ。”
“子供など必要ない”
“旅行など必要ない”
『お互いだけが居ればいい』
『ふたりだけの世界が全て』
毎日、マティルドが客の後ろに立ち髪を仕上げる。
店の長椅子に腰掛けマティルドを見つめる。
マティルドはアントワーヌの視線の愛撫を受け止め悦ぶ。
アラビアの音楽に踊り酔いしれ、そして抱き合う。
そんな毎日がふたりの最も幸福な時。
そんなストイックな愛ですが、最も貪欲なものではないでしょうか。
羨ましくもあり、少し怖いような…
そんな愛の形のように思いました。
『お互いだけがすべて』
デートや旅行など忘れて、ふたりだけのお互いを見つめ合い寄り添う…
そんな時間も必要ですね。
作品で流れる異国情緒あふれる情熱的なアラビアックミュージックと、優しいマイケル・ナイマンのインストゥルメンタル。(サントラもオススメです。)
それらの織り合わされたセンスの良さに感心させられました。
情熱的な愛の調べにふたりだけで酔いしれる…そんなひととき…
素敵ですね。
ひとこと…
そしてアントワーヌもマティルドのすべてを手にいれ、永遠の愛を捧げるのです。
変わらぬ愛を…。
「髪結いの亭主」は、私の大好きな映画のひとつです。
たくさんの学びがありました。
ぜひぜひ、ご覧ください。
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